2014年12月22日月曜日

主な次世代シーケンサーの原理・特徴と市販・開発状況(2015年版)

 GOクラブでは、2012年、2013年と年末に次世代シーケンサーの分類および各機種の状況について紹介してきた。今回の記事では、昨年に引き続き、2014年末時点での主な第2世代、第3世代(第4世代と呼ばれるものも含める)シーケンサーの原理・特徴ならびに市販・開発状況に関してまとめたので、紹介する。

2014年12月5日金曜日

Helicosの次世代シーケンサーが復活:SeqLLがサービスを開始

 世界で最初にDNA/RNAの1分子シーケンシングを実用化したHelicos Biosciences Corporation (Helicos) は、NASDAQに上場を果たした後、2012年11月に破産により活動を終えた。しかし、最近SeqLL, LLC (SeqLL) がHelicosの資産を承継し、受託シーケンシングサービス事業を開始することをアナウンスした。今回のGOクラブでは、Helicosの次世代シーケンシング(NGS)技術とSeqLLの事業を紹介する。

2014年11月25日火曜日

メタゲノム・ビジネス(4):マイクロバイオーム解析企業uBiomeの興味深い資金調達法

  前回のGOクラブで、一般市民向けのゲノム解析ビジネスである「マイクロバイオーム解析サービス」を立ち上げた、uBiome, Inc. (uBiome) を紹介した。uBiomeはクラウドファンディングによる資金調達後、Y combinatorの支援を受け、本格的なベンチャー企業として活動を始めた。今回のGOクラブでは、uBiomeの興味深い資金調達法について紹介する。

2014年11月11日火曜日

メタゲノム・ビジネス(3):uBiomeが推進する市民科学

 GOクラブでは、「メタゲノム・ビジネス」の特集シリーズとして、9月9日号、10月9日号と2回話題を提供してきた。今回のGOクラブでは、多数登場したマイクロバイオームベンチャーの中でも、異色の活動を行っているuBiome, Inc. (uBiome) の取り組みを紹介する。

2014年10月21日火曜日

Oxford Nanopore、新しいナノポアシーケンー“PromethION”を発表!

 9月25日付のGOクラブで、Oxford Nanopore Technologies Ltd. (Oxford Nanopore) が開発を進めている新しいナノポアシーケンサー“PromethIONシステム”の情報を提供したが、つい最近Oxford Nanoporeは、ホームページ上でPromethIONシステムの情報を公開した。また、Birmingham大学のNick Loman氏とOxford NanoporeのCTOであるClive Brown氏との情報交換(YouTubeで公開中)から、ポータブル・ナノポアシーケンサー“MinION”も実用レベルの性能を確保したこともわかった。今回のGOクラブでは、これらナノポアシーケンサーの最新情報を紹介したい。

2014年10月9日木曜日

メタゲノム・ビジネス(2): ヒト・マイクロバイオーム・ベンチャー企業の紹介

 ヒト腸内に棲む微生物群(Human Microbiome; ヒト・マイクロバイオーム)の種類は、健康状態によって異なることが明らかになっている。このヒト腸内微生物群の次世代シーケンシング(NGS)解析を、健康・疾病モニタリングや創薬に活かすことを目指すヒト・マイクロバイオーム・ベンチャー企業が米国を中心に多数誕生した。今回のGOクラブでは、これらベンチャー企業の概要について紹介する。

2014年9月25日木曜日

Illuminaに対抗できる次世代シーケンサー、登場か?

 これまでに膨大な種類の次世代シーケンシング (NGS) 技術が開発され、既に8タイプ(454、Illumina、SOLiD、Helicos、Complete Genomics、Polonator、Ion Torrent、Pacific Biosciences)の次世代シーケンサーが世に送り出された。そのような中で、Illuminaが今年初めに発売したHiSeq X Tenによって、ついに“1000ドルゲノム”は達成され、今もIlluminaの独走状態が続いている。しかし最近、Illuminaの独走を止める可能性がある次世代シーケンサーに関するニュースが出てきたので、今回のGOクラブで紹介したい。

2014年9月9日火曜日

メタゲノム・ビジネス(1):メタゲノムをいかにビジネスに結びつけるか

 近年、メタゲノム解析、特にヒトに棲む微生物集団のゲノム解析を医療やヘルスケアに応用することを目指すベンチャー企業が欧米で多数設立され、活発に活動している。GOクラブでは、メタゲノムをビジネスに結び付ける最近の動向を、シリーズ記事として紹介したい。

2014年8月22日金曜日

NIHが次世代シーケンシング技術開発グラント2014を発表

 2014年8月1日付で、米国NIHが、次世代シーケンシング(NGS)技術開発の研究グラントである“Advanced Sequencing Technology Awards 2014”を、8つの研究チームに供与すると発表した。本グラントの供与は2004年から始まり、NGS技術の開発に大いに貢献した。今回のグラントで最後になるとの発表もあったが、NGSの技術開発から応用の方にシフトすべき時期になったともいえる。以下に、各NGS技術の概要を紹介する。

2014年8月5日火曜日

Eve Biomedicalが開発を進める全く新しい原理の次世代シーケンサー

 約1年前のGOクラブで、米国国立ヒトゲノム研究所が供与する次世代シーケンシング技術開発の研究グラント“Advanced Sequencing Technology Awards 2013”に、Eve Biomedical, Inc. (Eve Biomedical)が採択されたことを紹介した。Eve Biomedicalの技術については、「安価な携帯電話カメラチップと白色LEDを使って次世代シーケンシング(NGS)が可能になる」というキャッチフレーズが興味を引く。今回のGOクラブでは、このEve BiomedicalのNGS技術を紹介する。

2014年7月23日水曜日

Quasispeciesと医療

 前回のGOクラブでは、Quasispeciesの概要を紹介し、Quasispeciesが主に微生物分野へ及ぼす影響について論じた。今回のGOクラブでは、Quasispeciesが医療分野へ及ぼす影響について概説したい。

2014年7月7日月曜日

Quasispeciesとは

  次世代シーケンサーの普及により、1細胞レベルのゲノム配列の相違が明らかにされるようになった。これに伴い、細胞やウイルスが増殖する際に変異が入ることにより、増殖した集団内でゲノム配列の多様性が生み出される現象が数多く確認できるようになった。この配列多様性を持つ"species"を"Quasispiecies"と呼ぶが、今回のGOクラブでは、Quasispeciesについて紹介する。

2014年6月23日月曜日

次世代シーケンサーの発売を目指すベンチャー企業の動向

 今年初めのGOクラブでは、「新しい次世代シーケンサーの発売ラッシュの年になるか」というタイトルで、今後の次世代シーケンサーの発売に対する展望を述べた。しかしながら、今年春頃から、次世代シーケンサーの発売を目指すベンチャー企業の活動に変調が見られる。今回のGOクラブでは、これらベンチャー企業の動向をまとめる。

2014年6月9日月曜日

遺伝子検査・遺伝学的検査・ゲノム診断について考える(5)

 GOクラブでは、シリーズ記事「遺伝子検査・遺伝学的検査・ゲノム診断について考える」において、4回にわたって遺伝子検査と遺伝学的検査に関する話題について紹介してきた。本シリーズの最終回として、今後の個別化医療と予防医療の推進の軸となる「ゲノム診断」について説明しようと思う。

2014年5月22日木曜日

1,000人ゲノムから100,000人ゲノムへ(後編)

 前回のGOクラブと今年3月24日付のGOクラブでは、英国、米国およびサウジアラビアで、10万人規模の個人ゲノム解読を行い、医療記録などの情報との関連性を調べることにより、疾病原因変異を探索するプロジェクトが多数開始されていることを紹介した。今回のGOクラブでは、Regeneron Pharmaceuticals, Inc. (Regeneron) が推進している10万人ゲノムプロジェクトなど、製薬バイオテク企業が取り組む次世代シーケンシング(NGS)利用プロジェクトについて紹介する。

2014年5月7日水曜日

1,000人ゲノムから100,000人ゲノムへ(前編)

 今年3月24日付のGOクラブで、J. Craig Venter氏が10万人の個人ゲノム情報を解読し、長寿すなわち予防医療・先制医療を目指すベンチャー企業Human Longevity, Inc. (HLI) を設立したことを紹介した。このように、疾病原因変異探索と個別化医療を目指す10万人規模のゲノムプロジェクトが多数推進されている。GOクラブでは、2回に渡って、これら大規模個人ゲノムプロジェクトの概要を紹介したい。

2014年4月21日月曜日

遺伝子検査・遺伝学的検査・ゲノム診断について考える(4)

 医療機関を介さずに直接消費者に対して「遺伝子検査」サービス(以下、DTC遺伝学的検査と呼ぶ)を提供する企業も増えてきている。GOクラブでは、このような状況を踏まえて、これまで3回に渡って、「(1)遺伝子関連検査の概説」、「(2)疾病発症に関わる変異」ならびに「(3)疾病原因変異の探索研究の歴史」を紹介した。今回のGOクラブでは、DTC遺伝学的検査について概説する。なお、本シリーズは3回で完結する予定であったが、今回の記事に加えて「ゲノム診断」を加えた5回シリーズで説明を終える予定である。

2014年4月11日金曜日

遺伝子検査・遺伝学的検査・ゲノム診断について考える(3)

 前々回のGOクラブは、疾病の原因となるゲノム・遺伝子の変異について概説した。この疾病の原因変異の探索方法も時代とともに推移している。今回のGOクラブでは、この疾病の原因変異の探索研究の歴史を振り返って考察してみたい。

2014年3月24日月曜日

J. Craig VenterとGoogleの戦い

 ヒト全ゲノム解読を達成したJ. Craig Venterが、個人ゲノム情報をもとにした長寿と老化防止を目指す新ベンチャー“Human Longevity, Inc. (HLI)”を2013年に設立したことが、3月4日付けでプレスリリースされた。ロイター(イギリスの通信社)をはじめとする通信社が、「Googleが昨年9月に長寿を目標とする新しい医療ベンチャー“Calico”を設立したことが、HLIの設立を促した」と論説している。今回のGOクラブでは、HLIの概要とGoogleのヒトゲノムビジネスの取り組みについて紹介する。

2014年3月10日月曜日

遺伝子検査・遺伝学的検査・ゲノム診断について考える(2)


 前々回のGOクラブでは、遺伝子検査と遺伝学的検査の違い、ならびに遺伝子の変異について概説した。最近の次世代シーケンシング(NGS)解析により、多くの場合、病の発症原因が個人ごとに異なり、その原因も多様であることがわかってきた。今回のGOクラブでは、この病の原因について概説する。

2014年2月25日火曜日

AGBT2014ミーティングでの話題:Oxford Nanopore、PacBioおよびGenapSys

 毎年次世代シーケンシング(NGS)に関する最新の技術が発表される“Advances in Genome Biology and Technology Meeting (AGBT2014)”が、今年は2月12~15日の4日間に渡って、例年と同じくフロリダ州Marco Islandで開催された。AGBT2014では、Oxford NanoporeのMinIONシーケンサーを用いて大腸菌などの2種類の細菌ゲノムのシーケンシング結果が発表されたことが大きなトピックスであった。今回のGOクラブでは、Oxford Nanopore、PacBio、そしてGenapSysに関する話題を提供したい。

2014年2月14日金曜日

遺伝子検査・遺伝学的検査・ゲノム診断について考える(1)

 株式会社ジナリスは、テラ株式会社と合弁で、医療機関に対してゲノム診断支援サービスを提供する新会社を立ち上げることになった。この「ゲノム診断」とは、「主に次世代シーケンサーによって個人や癌細胞のゲノム情報を網羅的に解析し、その解析結果に基づいて疾病の診断につながる情報を与える」ことを意味する。GOクラブでは、今回も含めて合計3回に分けて、「ゲノム診断」について「遺伝子検査」や「遺伝学的検査」と比較して論じてみたいと思う。

2014年1月20日月曜日

Illumina、新シーケンサー2機種の発売を発表

 Illuminaは、昨年10月末に、HiSeq 2500システムのアップグレード(1ランあたり1 Tb の出力)を発表した(昨年11月25日付のGOクラブで紹介)が、今年1月14日のJP Morgan Conferenceと同日付けのニュースリリースで、新シーケンサー2機種(HiSeq X TenNextSeq 500)の発売を発表した。HiSeq X Tenは、試薬代と固定費(シーケンサーの減価償却費と人件費)を合わせて、1,000ドルゲノムを達成できるという。今回のGOクラブでは、新シーケンサー2機種を中心に、最近のIlluminaの発表についてまとめる。

2014年1月6日月曜日

2014年、新しい次世代シーケンサーの発売ラッシュの年になるか

 次世代シーケンサーの世界は、Illumina, Inc. (Illumina) の独走状態が続いてきた。しかしながら、BGI による50台のIon Protonシステムの購入に関する発表(昨年10月)、Oxford Nanopore Technologies Ltd. (Oxford Nanopore) によるナノポアシーケンサーの早期利用プログラムに関する発表(昨年10月)など、最近ではIlluminaの快進撃にも陰りが見え始めてきている。さらに、今年はQiagenのGeneReaderや GnuBIO, Inc. (GnuBIO) のシーケンサーの発売も予定されている。今回のGOクラブでは、今後の次世代シーケンサーの発売に関する予想をまとめる。