次世代シーケンサーとは、Sanger シーケンシング法を利用した蛍光キャピラリーシーケンサーである「第1世代シーケンサー」と対比させて使われている用語である。米国を中心に50機関(チーム)以上のベンチャー企業や研究組織がしのぎを削って、次世代シーケンシング技術の開発を行った結果、多様な機器や技術が誕生した。これらの機器や技術の特徴を比較するために、次世代シーケンサー、次々世代シーケンサーなど、分類しようという試みがなされている。GOクラブでは、次世代シーケンサーを第2世代、第3世代、第4世代の3つに分類してきたが、以前にも言及したように、次世代シーケンサーを第2世代と第3世代に分類することにする。
2010年からジナリスGOクラブで主に「次世代シーケンサー」に関する記事を提供してきました。その後、次世代シーケンシング技術も一般に普及する段階に入ったことから、2015年から後継シリーズとして 「バイオデジタル革命の夜明け」の記事を提供しています。
2013年12月26日木曜日
2013年12月10日火曜日
Ion Torrentシーケンサーの最近の動向
Ion Torrentシーケンサーの構造は複雑でなく、シーケンシング用半導体チップのグレードが向上することにより、スペックが上がっていくので、将来発展が期待できるシーケンサーである。しかしながら、予定通りの性能向上が達成できていないために、Illuminaシーケンサーに後塵を拝する状況が続いている。Life Technologies Corporation (Life Technologies)は、最近 Ion Torrentシーケンサーについて新しいキットや新技術の発表を行ったので、最近の動向をまとめてみたい。
2013年11月25日月曜日
Illuminaシーケンサーの最近の動向
今年1月23日付のGOクラブで、Moleculo買収によるロングリード技術の導入やリード長300 bpの達成など、Illuminaシーケンサーに関する最新のニュース・話題を提供した。今回のGOクラブでは、これら発表内容の製品やサービスへの反映を含めて、その後のIlluminaシーケンサーの動向についてまとめる。
2013年11月5日火曜日
Oxford Nanopore、ナノポアシーケンサーの早期利用プログラムを発表
多くの研究者が待ち焦がれていたOxford Nanopore Technologies(Oxford Nanopore)のナノポアシーケンサーである“MinIONデバイス”が、早期利用プログラム(MinIONアクセスプログラム;MAP)として使用可能となることが発表された。このMAPについては今年11月末から登録が開始されるが、登録済ユーザの中からOxford Nanoporeが認めたユーザに対してMinIONデバイス配布され、シーケンシング実験を行うことができるようになる。今回のGOクラブでは、このMAPとMinIONデバイスの性能などについてレポートする。
2013年10月25日金曜日
血中をめぐる癌DNAの次世代シーケンシング解析
今年の9月13日付けと10月11日付けのGOクラブで、妊婦の血液中に胎児由来の遊離DNAが存在し、そのDNAを次世代シーケンシング(NGS)を用いて解析することにより、胎児の遺伝的罹患に関する診断が可能であることを紹介した。一方、体内に癌が発生すると、癌組織から血液中にDNAが漏れ出る現象が発見され、その癌組織由来DNA(癌DNA)に基づいた。
2013年10月11日金曜日
次世代シーケンサーによ「次世代」を解析する
前々回のGOクラブで、日本でも開始された「次世代シーケンシング(NGS)に基づく新型出生前診断」の話題を紹介した。また、米国NIHによる「NGSによる新生児遺伝性疾患のゲノム診断」の研究プログラムの開始や「NGS解析により選別した受精卵からのベビーの誕生」など、妊娠や出産の分野におけるNGS利用に関するニュースをよく見聞きする。今回のGOクラブでは、我々の「次の世代」すなわち受精卵から新生児までの領域におけるNGSに関する話題をまとめる。
2013年9月24日火曜日
携帯電話カメラチップと白色LEDを使って次世代シーケンシングが可能に!
2013年9月6日付で、米国国立ヒトゲノム研究所が、次世代シーケンシング技術開発の研究グラントである“Advanced Sequencing Technology Awards 2013”を8つの研究チームに供与することを発表した。今回の特色としては、8チーム中5チームがナノポアシーケンサーの開発に関わるものであることが挙げられる。また、画期的な新技術として、携帯電話カメラチップと白色LEDを用いた次世代シーケンサーの開発も選ばれた。今回のGOクラブでは、研究グラントに採択された技術の概要をまとめる。
2013年9月13日金曜日
新型出生前診断と次世代シーケンシング
日本で今年4月初めから開始した「新型出生前診断」の3ヵ月間の実施結果が7月17日に公表された。この「新型出生前診断」が次世代シーケンサーを用いた分析法であることが意外と知られていない。今回のGOクラブでは、次世代シーケンシング(NGS)の出生前診断への応用についてまとめてみたい。
2013年8月20日火曜日
電子顕微鏡シーケンサー開発、一進一退
前回のGOクラブでは、ナノポアシーケンサー開発企業の最近の動向を紹介した。電子顕微鏡を用いた次世代DNAシーケンサー(電子顕微鏡シーケンサー)の開発に目を向けてみると、Halcyon Molecular, Inc.とテラベース株式会社がシーケンサーの開発を断念した。一方で、ZS Genetcis, Inc.はシーケンサーの開発を加速化させている。今回のGOクラブでは、電子顕微鏡シーケンサー開発の動向について紹介しようと思う。
2013年8月8日木曜日
ナノポアシーケンサー開発、一進一退
2012年のAGBT (Advances in Genome Biology and Technology) コンファレンスで、Oxford Nanopore Technologies Ltd. (Oxford Nanopore) が、ナノポアシーケンサーの開発に成功し、2012年末までにナノポアシーケンサーを発売することを発表した。しかし、2013年8月初旬時点で、ナノポアシーケンサーの発売に関する正式発表は行われていない。インターネット上の情報によると、 製品の安定性などに問題があったようである。一方で、日立ハイテクノロジーズ(日立ハイテク)と英国ベンチャー企業“Base4 Innovation Ltd.”がナノポアシーケンサー開発の提携を発表するなど、新しい動きがある。今回のGOクラブでは、これまで紹介していない企業を中心に、ナノポアシーケンサー開発企業の最近の動向をまとめてみたい。
2013年7月29日月曜日
Ion Protonシーケンサーの話題: 多重化PCRによるエキソームシーケンシングの実現
今年7月2日付けで、Life Technologiesが、Ion Protonシーケンサー用エキソームシーケンシングキット“Ion AmpliSeq Exome Kit”の発売を発表した。この発表の衝撃は、294,000対のプライマーセットを用いてヒトエキソーム部分を効率よく増幅できる点である。生命科学分野の実験に携わっている者であれば、1対のプライマーセットでもうまくDNAが増幅できない経験もあると思うが、12本のチューブに分けてPCR反応を行うとはいえ、1回のPCR反応で25,000対のプライマーセットで膨大な数のターゲット領域を効率よく増幅させる技術には驚きを感じる。今回のGOクラブでは、このキットの紹介とエキソームシーケシングの現状を紹介する。
2013年7月13日土曜日
T細胞・B細胞受容体シーケンシングビジネスの勃興(後編)
T細胞受容体 (TCR)・B細胞受容体 (BCR) シーケンシングビジネスの特集として、これまでにSequenta, Inc.とAdaptive Biotechnologies Corporation の事業と技術を紹介した。今回(最終回)は、単細胞のT・B細胞からのTCR・BCRシーケンシングとワクチン・抗体開発への次世代シーケンシング技術の応用についてまとめる。
2013年6月27日木曜日
T細胞・B細胞受容体シーケンシングビジネスの勃興(中編)
次世代シーケンサーを用いてT細胞受容体(TCR)とB細胞受容体(BCR)の遺伝子を網羅的にシーケンシングするベンチャー企業の紹介を3回に分けて特集することにし、前回はSequenta, Inc.(Sequenta)の事業・技術を紹介した。今回は、Sequentaと類似のビジネスモデルを持つAdaptive Biotechnologies Corporation (Adaptive) の事業と技術を紹介し、Sequentaと比較してみたい。
2013年6月11日火曜日
T細胞・B細胞受容体シーケンシングビジネスの勃興(前編)
次世代シーケンサーの進歩によりシーケンシング価格が極端に安価になったことから、多様なビジネスが勃興しつつある。次世代シーケンサーを用いてT細胞受容体(TCR)とB細胞受容体(BCR)の遺伝子を網羅的にシーケンシングするベンチャー企業が米国で多数設立されているので、これらベンチャー企業を3回に分けて紹介しようと思う。今回のGOクラブでは、Sequenta, Inc.(Sequenta)の技術と事業を紹介する。
2013年5月24日金曜日
PicoSeqの1分子メカニカル同定・シーケンシング技術
PicoSeqの1分子DNA分析技術については、2013年3月11日のGOクラブでその概要を紹介した。今回のGOクラブでは、Nature Methods誌の2012年3月号に発表された内容をもとに、PicoSeqの1分子メカニカル同定・シーケンシング技術について紹介し、この技術の実用性について考察してみたい。
2013年5月10日金曜日
ナノポアセンサーを用いたタンパク質分析の進展
最近、Univ. of California, Santa CruzのAkesonらのグループが、Unfoldaseの一種である大腸菌ClpXタンパクを分子モーターとして、タンパク質の高次構造を解きほぐしながら、そのタンパク質をナノポアを通過させることによりセンシングする技術を発表した。今回のGOクラブでは、この技術内容を概説するとともに、ナノポアセンサーを用いたタンパク質分析の進展についてまとめてみたい。
2013年4月26日金曜日
イリノイ大学のグループが開発を進めるナノポアセンシング技術
Oxford Nanopore Technologiesは、今年1月8日に、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(UIUC)、ブラウン大学、スタンフォード大学、ボストン大学、ケンブリッジ大学、サウザンプトン大学などの教育研究機関に対して、Oxford Nanopore Technologiesが保有するナノポアセンシング技術の特許実施権をライセンスすることを発表した。今回のGOクラブでは、これらの中で、UIUC・Bashir教授のグループが開発を進めるソリッドステート・ナノポアセンシング技術について紹介したい。
2013年4月9日火曜日
ヒト1細胞からの全ゲノムシーケンシングの新技術
GOクラブでは、これまでに複数回に渡って「1細胞レベルでの全ゲノム解析の意義」を紹介した。ヒト1細胞からの全ゲノムシーケンシングも可能になったが、1細胞ゲノムシーケンシング法は、ゲノム全域に渡って不均一さが生じる点、決定された配列のカバー率が悪い点、そして配列決定エラー率も比較的大きい点などが問題であった。ハーバード大学のXie教授らは、これらの問題点を改善するために、1細胞からの全ゲノムDNAの増幅技術であるMALBAC法を開発し、昨年論文発表するとともに、今年のAdvances in Genome Biology and Technology Meetingでも発表を行った。今回のGOクラブでは、MALBAC法について紹介する。
2013年3月26日火曜日
PacBio RSシーケンサーに関する最近の動向
前回のGOクラブでは、“Advances in Genome Biology and Technology Meeting (AGBT2013)”における新しい次世代シーケンシング技術に関する発表・展示を中心に話題を提供したが、Pacific Biosciences(PacBio)のRSシーケンサーに関しては、RSシーケンサーのロングリードの特徴を生かした研究成果の発表は多かった。今回のGOクラブでは、 AGBT2013でのCold Spring Harbor LaboratoryのAntoniou博士の発表を中心に、PacBio RSシーケンサーに関する最近の動向をまとめて紹介する。
2013年3月11日月曜日
NGSの世界最大イベント“AGBT”での次世代シーケンサーに関する話題
毎年次世代シーケンシング(NGS)に関する最新の技術が発表される“Advances in Genome Biology and Technology Meeting (AGBT2013)”が、今年は2月20~23日の4日間に渡って、例年と同じくフロリダ州Marco Islandで開催された。AGBT2013では、昨年注目を集めたOxford Nanoporeのナノポアシーケンサーについては全く発表がなく、話題の中心はNGSの医療領域への応用であった。今回のGOクラブでは、AGBT2013での新しいNGS技術に関する発表・展示を中心に話題を提供したい。
2013年2月21日木曜日
日本の次世代シーケンサーベンチャー“Quantum Biosystems”の船出
「1分子解析技術を基盤とした革新ナノバイオデバイスの開発研究(略称:川合プロジェクト)」の研究成果をもとに、次世代シーケンサーなどの先進医療機器開発を目指すベンチャー企業“Quantum Biosystems”が今年2013年1月7日に設立された。日本では、2006年3月に電子顕微鏡を利用した次世代シーケンシング技術を開発するベンチャー企業「テラベース」が設立され、研究開発活動を続けてきたが、現時点では、次世代シーケンシング技術の開発は中断しているようである。したがって、”Quantum Biosystems”が実質日本唯一の次世代シーケンサー開発ベンチャー企業となる。今回のGOクラブでは、川合プロジェクトで開発している次世代シーケンシング技術を紹介したい。
2013年2月5日火曜日
次世代シーケンスデータ解析ソフトウェア・システムの分類
次世代シーケンサーが革新的な進歩を遂げた結果、ヒトゲノム配列決定コストは1,000ドルを達成できたといえよう。しかしながら、データ解析・保管のコストを含めると、実際に必要となる経費に関しては1,000ドルゲノムの達成はまだ遠い。データ解析・保管の問題については、JST研究開発戦略センターが発行した「科学技術・研究開発の国際比較 2011年版」にも記載されているが、配列決定コストよりもデータ解析・保管コストに全体予算の半分以上を割く必要性が出てきた。この問題を解決するために、多数のデータ解析・保管のためにソフトウェアや解析システムが開発されているが、今回のGOクラブでは、主な次世代シーケンス(NGS)データ解析用ソフトウェアや解析システムについて紹介しようと思う。
2013年1月23日水曜日
IlluminaシーケンサーとIon Torrentシーケンサーに関する最近の話題
最近「Illuminaがベンチャー企業Moleculo, Inc.(Moleculo)を買収して、Illuminaシーケンサーのリード長を大幅アップさせる」というニュースが流れているが、今回のGOクラブでは、このリード長の問題を中心に、IlluminaシーケンサーとIon Torrentシーケンサーに関する最近の動向について紹介する。
2013年1月7日月曜日
未来を考える(第5回目:バイオデジタル情報革命の到来)
1990年代後半よりデジタル情報革命が到来したが、この革命の第二幕は、ライフサイエンス分野すなわちバイオ分野のデジタル情報革命ともいえる。今年2013年は、いよいよOxford Nanoporeのナノポアシーケンサーが発売される。また、Ion TorrentのProtonシーケンサーの普及も進むはずだ。今回のGOクラブでは、次世代シーケンサーに加えて、電子嗅覚センサーや電子味覚センサーを含めた半導体バイオセンサーが拓く「バイオデジタル情報革命」を論じてみたい。
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