2013年11月25日月曜日

Illuminaシーケンサーの最近の動向

 今年1月23日付のGOクラブで、Moleculo買収によるロングリード技術の導入やリード長300 bpの達成など、Illuminaシーケンサーに関する最新のニュース・話題を提供した。今回のGOクラブでは、これら発表内容の製品やサービスへの反映を含めて、その後のIlluminaシーケンサーの動向についてまとめる。


ロングリード技術

  IlluminaがMoleculoを買収した時点では、ロングリード技術の内容については原理を含めて全く公開されていなかった。現時点では、Illuminaのホームページを介して原理の概要のみ開示されている。まず、ライブラリーを作製するには、ゲノムDNAを約10 kbに断片化する。次に、これら断片を増幅した後、個々の増幅断片をシェアリングし、生成した小断片に対してユニークなインデックスを付加してラベリングする。続いて、これら小断片のシーケンシングを行った後に、配列をつなぎ合わせて、ロングリードを合成する。Illuminaの発表によると、リード長は1.5~10 kbである。スタンフォード大学のDmitri Petrov博士のグループによるDrosophilaゲノムのロングリード解析のデータ(約30 Gb)が公開されている。そのデータによると、以前15 kbになると紹介したが、最長が15 kbであり、8.5 kbあたりに1つの山がある。11 kb以上のリードはそれほど多くない。

 Illuminaは、このロングリード技術を用いた2種の受託シーケンシングサービスを提供することを今年7月18日に発表している。1つ目は、Illumina FastTrack Servicesに属するLong-Read Sequencing Serviceである。もう一つのサービスは、ヒト全ゲノム解析のオプションで、ハプロイドのゲノム配列を決定するPhasing Analysis Serviceである。現時点では、このリングリード技術はユーザ側では使えない。

リード長300 bpのシーケンシングキットの発売とHiSeqのアップグレード

  年初にIlluminaシーケンサーのリード長が300 bpになることが発表されたが、Illuminaは今年8月19日に、MiSeqシステム用のシーケンシングキットとして、リード長300 bpのPaired End Sequencing(リード数は最大2500万)を行えるキットの発売を発表した。このキットを使うと、MiSeqシステム・1ランで約15 Gbの配列が出力される。なお、HiSeqシステムでは、リード長300 bpのキットは使えない。また、今年初めにHiSeqシステムでリード長250 bpのPaired End Sequencingを行えることを発表しているが、このキットの発売は遅くなり、来年中頃になるようである。

 なお、Illuminaが、「HiSeqシステムを使うと、最大1テラベース(1 Tb)の配列を6日間で出力できるアップグレードを来年行う」という発表をAmerican Society of Human Genetics 2013の年会で行った。

診断用次世代シーケンサーMiSeqDxシステムがFDAの承認を得る

  Illuminaが次世代シーケンサーMiSeqDxシステムを診断機器としての利用・販売をFDAに申請していたが、11月19日付で承認が得られたことを発表した。次世代シーケンサーが診断用機器としてFDAから承認されたのは初めてである。同時に、嚢胞性線維症の変異アッセイとMiSeqDxユニバーサルキットの市販についてもFDAから承認が得られた。

企業買収

  Illuminaが出産分野のゲノム診断ビジネスを拡大するために、Verinata HealthとBlue Gnomeを買収したことはすでにGOクラブでもレポートした。最近、IlluminaがAdvanced Liquid LogicNextBioを買収したのでレポートする。Advanced Liquid Logicはマイクロ流路技術を持つベンチャー企業であり、特に“electrowetting”と呼ぶ、微小液滴で表面を湿らす技術が特徴的である。Illuminaは、Advanced Liquid Logicの買収により、HiSeqシステムやMiSeqシステムによるシーケンシング工程の自動化を促進し、Sample-to-Answer型シーケンサーにより近づけることを目指すものと予想される。

 一方、NextBioは、ビッグデータを扱う技術に優れている企業で、研究者向けと医療機関向けにゲノム情報解析とアノテーション・医療情報との連関付けを行うプラットフォームをクラウド形式で提供しているベンチャー企業である。Illuminaは、NextBioの買収により、バイオインフォマティクス分野のサービスと製品の提供を加速化する狙いがあると思われる。