2011年4月26日火曜日

GnuBIOの次世代シーケンサー開発、大きく進展

 GOクラブでは、2010年6月に、新しい次世代シーケンサー開発ベンチャー“GnuBIO”を紹介し、GnuBIOはヒトゲノム配列を30ドルのコストで決定することを売りにしていることを述べた。GnuBIOは、2011年4月6日に次世代シーケンサー開発の進展に関するプレスリリースを行った。その発表内容から、GnuBIOのシーケンサーが想定外の優れた性能を有する可能性があるので、今回のGOクラブで紹介する。


GnuBioシーケンサのプロトタイプ・システムの性能

GnuBIOは、開発を進めている次世代シーケンサーのプロトタイプシステムを用いて、126 bpのモデルDNA(GC含量が58%で、2~6 bpのホモポリマー配列を持つ)のシーケンシングを行った結果を発表した。
  • シーケンシング精度: 各リードの精度は各塩基レベルで99.993%(この精度はコンセンサス精度でないので、極めて高精度であることがわかる)
  • シーケンスカバー率: 100%
  • シーケンス解析に用いることができるリードの割合: 100%
  • 平均リード長: 126 bp (ただし、現段階でもルーチンに約1 kbのリード長は得られている)
  • シーケンシングの冗長度: 1,700倍

GnuBIOの発表によると、1サンプルのシーケンシングコストと1,000サンプルの特定領域をシーケンシングする場合のコストは、同じになる、すな わち配列決定領域が小さければ、単純にコストが安くなる。このように、シーケンシングコストがサンプル数に依存せずに、単純に配列決定量と比例している シーケンサーはGnuBIOシーケンサーのみである。以前のGOクラブでも紹介したが、GnuBIOシーケンサーの価格は$50,000以下になる予定であり、Ion Torrent PGMシーケンサーと同レベルの価格である。

GnuBIOのシーケンシング技術の原理

GnuBIOは、約1年前にオリゴDNAのHybridization & Ligation法によりシーケンシングすることを発表していた。この方法で上述のシーケンシング精度を実現することはむずかしい。今回発表したプロトタ イプ・システムでは、DNAポリメラーゼを用いた全く新しいシーケンシング法を用いているようで、非常に興味深いものがある。他のニュースによると、配列 決定すべきターゲットDNAに6塩基のオリゴDNA(Hexamer)をハイブリダイズさせた後、このHexamerをもとにDNAポリメラーゼにより DNA合成を行うが、合成反応に伴い、蛍光ラベルをクエンチする作用を持つプローブが遊離することにより塩基配列を読み取るらしい。このシーケンシンス反 応では合計約4,600種類のオリゴDNAを用いるが、この膨大な種類のオリゴDNAに関して高品質の標品を得ることが非常にむずかしい。高品質の 4,600種類のオリゴDNAを調製することが最も大きな解決課題らしい。

GnuBIOシーケンサーの評価

GnuBIOシーケンサーは単に安価にヒトゲノムをシーケンシングする機器と位置付けていたが、シーケンシング精度やスループットの面で、想定外の優位性 が秘められていると感じた。ただし、GnuBIOの今回の発表は、モデルDNAを用いたシーケンシング技術の実証であり、ヒトゲノムDNAを用いたシーケ ンシング結果ではないことに留意する必要がある。