2010年3月26日金曜日

~ 次世代シーケンサーについて語る ~ 次世代シーケンサーの分類


 次世代シーケンサーとは、Sanger シーケンシング法を利用した蛍光キャピラリーシーケンサーである「第1世代シーケンサー」と対比させて使われている用語です。米国を中心に50機関(チーム)以上のベンチャー企業や研究組織がしのぎを削って、次世代シーケンシング技術の開発を行った結果、多様な機器や技術が誕生しました。これらの機器や技術の特徴を比較するために、次世代シーケンサー、次々世代シーケンサーなど、分類しようという試みがなされています。GOクラブでは、これまで発表された次世代シーケンサーやシーケンシング技術の特徴を吟味して、下表に示すように、第2世代、第3世代、第4世代と分類することにします。米国では、2003年以降National Human Genome Research Instituteが$1,000ゲノム・グラントを提供しているように、次世代シーケンス技術の開発の主目的は、塩基配列決定のコストダウンです。第2世代シーケンサーでは、光検出を行うために特殊な試薬や検出器を必要とし、また第3世代や第4世代と比べて単位時間当たりの配列決定量も大きくないので、コストが高くなります。一方、第3世代シーケンサーは、1分子のDNAを鋳型としてDNAポリメラーゼの合成速度で塩基配列を読むために、単位時間当たりの配列決定量も大きく、コストダウンにつながることが期待されています。第4世代シーケンサーは、光検出を行わないので、試薬代が安価になり、かつ光検出器が必要なくなり、機器も安価になることが期待されています。またDNAサンプル調製もより簡便になると思われます。
項目\分類
第2世代シーケンサー
第3世代シーケンサー
第4世代シーケンサー
原理・特徴
逐次DNA合成・光検出法を用いた超並列シーケンシングDNAポリメラーゼまたはDNAリガーゼによる逐次的DNA合成法を用いて、蛍光・発光など光検出により、超並列的に塩基配列を決定する1分子リアルタイム・シーケンシングDNA1分子を鋳型としてDNAポリメラーゼによりDNA合成を行い、1塩基ごとの反応を蛍光・発光などの光で検出することにより、リアルタイムで塩基配列を決定するPost-light シーケンシング蛍光・発光など光検出以外の検出方法により、超並列的に塩基配列を決定する
配列決定
スループット
1~25 Gb/day
未発表
>100 Mb/run (hr)
(Ion Torrent Systems)
機器の価格
2000万円~1億円
695,000ドル (Pac. Bio.)
45,000ドル
(Ion Torrent Systems)
配列決定精度
一般的にエラーが多い
エラーが多い (Pac. Bio.)
優れている (Ion Torrent)
1 リード長
25~400塩基程度
1000塩基、最大10 kb
(Pac. Bio.)
100~200塩基 (Ion Torrent)
開発企業・
開発組織
(青字は、
機器・サービス
が利用可能)
(DNAポリメラーゼによる合成)
454IlluminaHelicos・Intelligent Bio-Systems
・LaserGen
・Lightspeed Genomics
(DNAリガーゼによる合成)
SOLiDComplete GenomicsDanaher Motion Polonator
・GnuBio
(1分子リアルタイムDNA合成)
・Pacific Biosciences
・Life Technologies (VisiGen)
・Cracker
・Columbia Univ.
・Harvard Univ.
・Mobious Biosystems
・GE Healthcare
・Univ. of California, San Diego
(タンパク・ナノポア)
・Oxford Nanopore
・Univ. of Washington
・Electronic Bio Sciences
(ソリッドステート・ナノポア)
・NABsys
・IBM
・NobleGen Biosciences
・Stratos Genomics
・その他多数の大学
(タンパク/ソリッドステート・ハイブリッドナノポア)
・Kavli Institute of Nanoscience
(水素イオン検出)
Ion Torrent Systems
(温度上昇検出)
・GenapSys
(DNA電荷測定)
・Caerus Molecular Diagnostics
(電子顕微鏡)
・Halcyon Molecular
・ZS genetics
(Tunneling signal)
・Arizona State Univ.
・Imperial College London
・大阪大学
(ナノサイズの櫛)
・Reveo
(Carbon nanotube)
・Arizona State Univ.
(Graphene)
・California State Univ.
・Univ. of Pennsylvania
・Kavli Institute of Nanoscience